road to spine

大学院を卒業し、田舎の病院で脊椎内視鏡手術を行っています 脊椎外科医になるために必要な事を備忘録も兼ねて たまに資産形成、英会話などについても

カテゴリ: 脊椎・脊髄

カンファにて「タンデム症例は悩ましいね、、」
タンデム??
恥ずかしながら初耳でした、、

脊柱管狭窄が2か所以上に存在する例をtandem spinal stenosisというそうです。
頸椎と腰椎、胸椎と腰椎、頸椎と胸椎、または3か所すべて、といったように。
tandem


たしかに脊髄症状がメインだと、どこから除圧すればよいか悩ましいですね。
2017年のJBJS.Revでは、どこから除圧を行うが決まりはないが、まず頚髄症を優先して対処する、と書いてあります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28872572/

そして1か所の脊柱管狭窄が見つかった際、他の狭窄を見落として重大な合併症を引き起こすことがある、とも書かれています。
毎回全脊椎MRI撮ったりミエロを行うわけにもいかないし、これまた難しい問題です。


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専門医試験の勉強中、onion-peel sensory loss syndromeが出てきて、はたと気付きました
そういえばこないだの脊損、顔面の感覚障害あったな、、
あんまり本人も我々も気にしてませんでしたが、脊損によるものだったのでしょう

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『上位頸髄損傷では、四肢体幹のみならず顔面の感覚障害を認めることがある。これは、onion-peel sensory loss syndromeと呼ばれ、三叉神経脊髄路が上位頸髄までかこうしているために生じる』


JALASで初耳だった言葉をまとめます
Exiting nerve rootとTraversing nerve root


root

この画像を見れば一発でしょうか。

Exiting nerve root:椎間孔外に出た後の神経根
Traversing nerve root:椎間孔内までの神経根


と理解しました。(違ったら御指摘願います)
L4/5の正中ヘルニアではL5のTraversing nerve rootが、
L4/5の外側ヘルニアではL4のExiting nerve rootが、障害されるということです。


今回のJALASのセッションの一つ「LIF・尿管損傷」。
LIFの0.06%に生じるとされています。
つまり、2000例に1例くらいの割合で、これをどう捉えるかは人それぞれですが、一度生じると悲惨です。
僕も損傷自体は見たことがありませんが、術野にウネウネうごめく尿管が組織越しに透見されることがあります。はじめは感動しましたが、今は怖いでしかないです。
そんなLIFの尿管損傷について備忘録。

・インジゴカルミン20mg(5ml) をivしておくと術中尿管損傷があった際にインジゴ色の尿が出てくるので診断に有用。iv後5分後から90分程度まで尿色調変化がある。(全例で術直前投与するという先生と、リスクの高い症例で投与する先生、投与しない先生など様々)
・術後ドレーン排液で尿かどうかを判断するには排液のCre値を測定する。(正常は血中濃度とほぼ一緒、尿であれば10以上の数値となる)

あとは起こしてしまった後の治療についてですが、完全断裂では尿管同士を縫合しても狭窄リスクが高いので、ステントもしくは遠位断端を腎盂に(すみません曖昧です)直接繋げたほうが良い、という話が印象的でした。


こちらの本はLIFの手技についても詳しく載っています。若手必見の書と思います。

先日のJALASで聞いて知らなかったワード
『rising psoas sign』
知りませんでした、調べました。

簡単にまとめると、
・XLIFやORIFなど側方からのアプローチの際に気を付けるべきCT所見。
・腰筋が前方に張り出していると、レトラクトなどの操作で腰神経叢や大腿神経損傷リスクが高くなる。
・特にL4-5椎間板レベルでは、上記神経が術野に近接している。
・きちんとした定義はないが、ある文献ではCT axi像で下記2つを定義。
  (A)付着部が椎体側面の前方1/2 以上で離れているもの。
  あるいは、(B)筋の前縁が椎体 前縁より前方に突出しているもの。
(Journal of Spine Research Vol.7 No.3 2016 OLIF 施行例における大腰筋の走行異常(Rising psoas sign)の検討 谷田 司明ら 京都大学整形外科)

risingpsoas


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