最近某SNSで話題の柔道整復師問題。
やり玉に挙げられているのは下記の3点。
法的なことなど、知識の整理をしてみました。

①骨折の保存加療を最後まで行っていることは違法ではないか?
②関節痛などを整形外科受診無しで(?)治療することによる骨軟部腫瘍の見逃し
③レントゲンを撮って「診断」をつけることは違法ではないか?

①の保存加療については、法律にきちんと書いてあります。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC1000000019

(施術の制限)
第十七条 柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。

常識的に保存加療で何週間も治療をし続けるのは応急処置には当たらないと考えられますが、「応急処置」の具体的な期間が記載されていないので、グレーゾーンで行っているものと思われます。医療保険的には初回のみ適応で、以後は自費診療となることが多いようです。

②の骨軟部腫瘍見逃しについては、もちろん特に法的な規制は無いです。膝が痛くてマッサージ屋さんに行って、いきなり医療機関受診を勧めることがないのと一緒で、そこまで整体に期待するのは難しそうです。ただし、骨肉腫などで月単位もしくは週単位のの治療の遅れで悲惨なことになるのは腫瘍治療ではあるあるのようなので、啓蒙活動は必要であると考えられます。

③については、そもそもレントゲン撮影が整体では撮れない(診療放射線技師法第24条にて医師、歯科医、放射線技師しか撮影を認められていない)ので、提携病院で撮影してもらう流れのようです。そこで読影までつけて骨折の診断を医師にしてもらって、応急処置を行う分には①の如く合法と考えられます。

柔道整復師を導入して(ギプスやシーネ固定など)上手くいっている整形外科開業医もあり、上手な関係を持てるようになりたいものですね!
個人的には、術後の患者さんなどで整体やあ・は・き(按摩・鍼・灸)の診断書を頼まれても責任が取れないので、応じていません。診断書を書いて何かあった場合の責任は医師が負うことにもなるからです。
保存治療の勉強が不足しがちなのは否定できないです、日々勉強していこうと思います。
下記の教科書は冒頭の100ページ超が保存加療についてです。保存加療こそが最大の低侵襲。間違いないです。


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