road to spine

大学院を卒業し、田舎の病院で脊椎内視鏡手術を行っています 脊椎外科医になるために必要な事を備忘録も兼ねて たまに資産形成、英会話などについても

タグ:脊椎

脊椎除圧手術時に避けては通れない(避けたいけど)硬膜損傷。
どんなに気を付けていても癒着がひどかったり硬膜が菲薄化していたり、、破けてしまうことがあります。
オープンの手術であれば縫えますが、ワンポータルのFESS(全内視鏡下脊椎手術)ではそうはいきません。
オープンに術式変更するのが最終手段ですが、なるべくならそれも避けたいです。
パッチテクニックというものを使えば何とかなるようです。
当院でも数例行い、上々の印象です。
こちらによくまとまっています。
https://www.itoortho.jp/images/about/paper/pdf/paper_20130010.pdf

FESSでパッチテクニックを行って感じたpointとしては
・シートは惜しみなく何枚も重ねる 術野をすべて覆うくらいでいい 
・しっかり水を吸ってドライにしてからフィブリン液を散布する  ワンポータルで水を吸えないなら別ポータルを開けて吸引管を入れるのが確実

いまのところ一時的な軽度の馬尾症状はありますが、神経の嵌頓などの合併症は起きていません。




現在勤務している施設は上司の方針でほぼ非固定で手術を行っていますが、いつか来るであろう固定適応の慢性疾患。
脊椎内視鏡に特化した病院ですのでPETLIF(=FE KLIF)を行えるようにしっかり準備できればと思っています。
この術式では内視鏡を利用してKambinのTriangleからケージを挿入、腹臥位のまま後方からPPS固定ができます。
PETLIF: Percutaneous Endoscopic Transforaminal Lumbar Interbody Fusion
FE KLIF: Full-Endoscopic Trans-Kambinʼs Triangle Lumbar Interbody Fusion

jmisst-2021-00108f1



個人的に魅力的なのは、内視鏡手術は生理食塩水で術野を還流し続けますので、ケージに関しては感染リスクが減るのではと考えています。
デメリットはケージが小さいことによる矯正力の低さと沈下リスクでしょうか。

どのデバイスを使うのか?についてはまだ一定のものは確立されていません。
挿入に必要なスリーブ・ディストラクターがあれば、小さいケージであれば会社関係なく挿入可能なようです。
スリーブ・ディストラクターについては
・MDM社(ロバート・リード社の製品)
・SURGICAL SPINE社
の2社は少なくとも出しているようです。

ケージは
・Globus社のRISE
・TEIJIN社のUNIOS
このあたりを使っている人がいると情報がありました。
情報がまだまだ少ないので、適宜追記していこうと思います。




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専門医試験2021でも出た頭蓋底嵌入症の基準線
この4つは覚えるしかなさそうです、、
詳細は標準整形に載っています


zugaitei


・McGregor line
側面像で硬口蓋後縁と大孔後縁を結ぶ線
正常では歯突起先端がこの基準線より上方4.5mmを超えない

・McRae line
下孔の前後を結んだ線
この線より歯突起先端が上方に突出すれば頭蓋底嵌入症

・Chamberlain line
硬口蓋と下孔後縁を結んだ線
この線より2.5 mm以上歯突起が上方移動すれば頭蓋底嵌入症 
・bimastoid line
正面像で両側の乳様突起加担を結ぶ線
正常では歯突起下端がこの線より上方10mmを超えない




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大学に戻ってよかったと感じる点は、側弯や腫瘍、スポーツなどの各種専門外来に関わること。
教育的な先生が多く、大変勉強になります。
先日の側弯症外来で知ったこと。
検診などで指摘される子供の側弯症は親が心配していることが多く、外来も長くなりがち。
教官の先生に良い説明方法を伺ったところ、

『気になることは沢山あると思います。側弯症について、ご家族の方が気になることは側弯症学会のホームページに殆ど載っているので一度見てください。インターネットで「側弯症学会」と検索してください。』

これを言えば間違いないと教わりました。
https://www.sokuwan.jp/
sokuwanhp

たしかにとても分かりやすいし、正確な情報が載っています。
外来をスムーズに進めること、ネット上にたくさんある間違った知識を避けてもらう、という意味でもお勧めです。

同じく学会が出している下記の本も、大変分かりやすいです。



カンファにて「タンデム症例は悩ましいね、、」
タンデム??
恥ずかしながら初耳でした、、

脊柱管狭窄が2か所以上に存在する例をtandem spinal stenosisというそうです。
頸椎と腰椎、胸椎と腰椎、頸椎と胸椎、または3か所すべて、といったように。
tandem


たしかに脊髄症状がメインだと、どこから除圧すればよいか悩ましいですね。
2017年のJBJS.Revでは、どこから除圧を行うが決まりはないが、まず頚髄症を優先して対処する、と書いてあります。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28872572/

そして1か所の脊柱管狭窄が見つかった際、他の狭窄を見落として重大な合併症を引き起こすことがある、とも書かれています。
毎回全脊椎MRI撮ったりミエロを行うわけにもいかないし、これまた難しい問題です。


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