road to spine

大学院を卒業し、田舎の病院で脊椎内視鏡手術を行っています 脊椎外科医になるために必要な事を備忘録も兼ねて たまに資産形成、英会話などについても

タグ:脊椎

今回のJALASのセッションの一つ「LIF・尿管損傷」。
LIFの0.06%に生じるとされています。
つまり、2000例に1例くらいの割合で、これをどう捉えるかは人それぞれですが、一度生じると悲惨です。
僕も損傷自体は見たことがありませんが、術野にウネウネうごめく尿管が組織越しに透見されることがあります。はじめは感動しましたが、今は怖いでしかないです。
そんなLIFの尿管損傷について備忘録。

・インジゴカルミン20mg(5ml) をivしておくと術中尿管損傷があった際にインジゴ色の尿が出てくるので診断に有用。iv後5分後から90分程度まで尿色調変化がある。(全例で術直前投与するという先生と、リスクの高い症例で投与する先生、投与しない先生など様々)
・術後ドレーン排液で尿かどうかを判断するには排液のCre値を測定する。(正常は血中濃度とほぼ一緒、尿であれば10以上の数値となる)

あとは起こしてしまった後の治療についてですが、完全断裂では尿管同士を縫合しても狭窄リスクが高いので、ステントもしくは遠位断端を腎盂に(すみません曖昧です)直接繋げたほうが良い、という話が印象的でした。


こちらの本はLIFの手技についても詳しく載っています。若手必見の書と思います。

先日のJALASで聞いて知らなかったワード
『rising psoas sign』
知りませんでした、調べました。

簡単にまとめると、
・XLIFやORIFなど側方からのアプローチの際に気を付けるべきCT所見。
・腰筋が前方に張り出していると、レトラクトなどの操作で腰神経叢や大腿神経損傷リスクが高くなる。
・特にL4-5椎間板レベルでは、上記神経が術野に近接している。
・きちんとした定義はないが、ある文献ではCT axi像で下記2つを定義。
  (A)付着部が椎体側面の前方1/2 以上で離れているもの。
  あるいは、(B)筋の前縁が椎体 前縁より前方に突出しているもの。
(Journal of Spine Research Vol.7 No.3 2016 OLIF 施行例における大腰筋の走行異常(Rising psoas sign)の検討 谷田 司明ら 京都大学整形外科)

risingpsoas


先日、とある症例こんな言葉を上司が言いました
「これはスピノペルビックかなぁ。。」
すぴのぺるびっく??
恥ずかしながら脊椎外科志望にもかかわらず、知りませんでした。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/67/4/67_762/_pdf/-char/ja

こちらの論文に詳細があります。

AO的にはこんな感じ
https://www2.aofoundation.org/wps/portal/!ut/p/a1/04_Sj9CPykssy0xPLMnMz0vMAfGjzOKN_A0M3D2DDbz9_UMMDRyDXQ3dw9wMDAzMjYEKIvEocDQnTr8BDuBoQEh_QW5oKAD4ENaS/dl5/d5/L2dJQSEvUUt3QS80SmlFL1o2XzJPMDBHSVMwS09PVDEwQVNFMUdWRjAwMDcz/?bone=Pelvis&classification=61-Sacrum&method=ORIF%20-%20Spinopelvic%20fixation&segment=Ring&selectAllowed=true&showPage=indication&treatment=Operative&contentUrl=srg/61/02-Indications/I100_Sacrum_N18.jsp

つまり「骨盤骨折で後方要素の破綻がある場合に、骨折のない脊椎にpedicle screwを刺入し、それをアンカーとして骨盤screwと連結することで強固な固定を得る」といったところでしょうか

メリットとして
・固定力が高い
・低侵襲(特にTAE後で軟部組織の虚血が危惧される場合など)

デメリットとして
・技術的に大変(連結が大変なんだよなぁ、と上司がぼやいておりました)
・術後の腰痛(デバイスによる広範囲固定によるもの)

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