road to spine

大学院で臨床・研究中の整形外科医 脊椎外科医になるために必要な事を備忘録も兼ねて たまに資産形成、英会話などについても

タグ:脊髄損傷

膀胱直腸障害を復習する機会がありました
特に、直腸障害については殆ど気にしたことがありませんでした
いつも、「おしっこが出ているかどうか」ばっかり気にしていました
実際に直腸障害とは何なのか?どこの筋肉に影響しているのか?全く知りませんでした

こちらに詳しくまとまっています

直腸障害は主に「便を貯める機能」と「便を排出する機能」の2つに分けて考えるとのこと
印象だったのは下記の一文

残念ながら、脊髄損傷の詳細な病態や「便意」 に関する具体的な研究は、あまり進んでいません。 はっきりしたことは今後この分野の発展を待つしかありませんが、脊髄に問題を持った方の排便障害は、「便意」の問題により排便困難を来している場合がほとんどです。 

まだ分かっていないことがたくさんあるんですね
括約筋の機能障害でしょ、くらいに考えていましたが、それは大きな間違いでした

直腸障害が遺残してしまった場合の対応として、経肛門的洗腸療法というのが提示されています
https://www.jascol.jp/member_news/2020/files/20200331.pdf?v=2
↑こちらのリンクでは、洗腸療法だけでなく病態についても載っています


専門医試験勉強で初めて知ったこと、、

症状固定を行って後遺症認定がなされ一定の金額が支払われます。
以後の診察費用は本人が負担することになる、そこまでしか知りませんでした。
場合によっては「アフターケア制度」といもので費用を負担してもらえるんですね。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/090325-1.pdf

脊損から熱傷、大腿骨頚部骨折に至るまで様々です。

aftercare

たとえば脊損だと診察費だけでなく褥瘡処置に関わるガーゼや、排尿障害にともなうバルーンや導尿の医療資材も対象になります。

申請は症状固定後、期限があるので要注意です。
しっかり理解して患者さんの不利益にならないようにしたいものです。

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専門医試験対策は早めに始めておくことを強くお勧めします。試験対策という意味でも、整形外科医としての基本的な知識を得ておくという点においても。
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脊髄損傷の評価スケールの一つ、AISについて

ASIA Impairment Scaleの略です
所属する病院群では最も使われています
手持ちのカンファレンス必携にも載っておらず、すぐに忘れるのでいつもいちいち検索していました
エクセルにコピーして印刷用に作った画像を貼っておきます


AIS

他のスコアリングなども含め、こちらのサイトにたくさん載っています
http://www.jscf.org/jscf/SIRYOU/rihabiri/hyoukasyakudo.htm


整形外科身体診察のお勧めはこちらです。イラストがとても分かりやすいです。


後期研修初めの頃に出会った、脊損患者の紹介状に書いてあった一文。
「anal reflexが出現しており、spinal shockは離脱しているものと考えられ、ASIA-Aと考えられます」

全然理解できませんでした。まとめます。

基本の概念として

・重度の脊髄損傷の際、脊髄反射は一過性にすべて消失し、その状態をspinal shock(脊髄ショック)という
・spinal shockの時期は経時的に機能障害が改善する
・spinal shockの時期が終わっても残る麻痺は基本的にはその後改善しない

spinal shockは受傷後1日から2日以内に離脱すると考えられています。
早い人だと数時間で離脱するので、診察時には球海綿体反射もしくは肛門反射を遠慮せずに行うことが重要です。

ASIA(脊損のスコアリング)についてはまた別の機会にまとめます。

標準整形外科学の脊髄損傷の項に、詳しく載っています。
もうすぐ第14版が出るんですね。
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