**専門医試験用、ガイドラインの要約をコピペしてまとめただけの記事です

第1章 分 類
 CQ 1.最も広く使われている分類は
 一般的に用いられているのはWHO分類とEnzinger&Weiss分類である.

 CQ 2.病期分類は
 AJCC systemをはじめとして,UICC systemやSurgical staging systemが用いられている.


第2章 疫 学
CQ 1.良性・悪性の割合は
Grade A 良性軟部腫瘍と軟部肉腫の頻度に関する正確なデータは存在しないが,良性軟部腫瘍の方が多いというエビデンスは存在する.

CQ 2.年齢と腫瘍の関係は
Grade B 年齢(年代)ごとに発生する軟部腫瘍の頻度・種類は異なる.各腫瘍の好発年齢を知っておくことは軟部腫瘍の鑑別診断を進める上で有用である.

CQ 3.性別は
Grade B 軟部肉腫はやや男性に多い傾向がある.

CQ 4.発生部位は
Grade B 運動器に発生する軟部肉腫は下肢に多い.また,軟部腫瘍の中には組織型によって好発部位を有する腫瘍が存在する.

CQ 5.組織型と頻度は
Grade B 全国骨・軟部腫瘍登録一覧表によると,良性軟部腫瘍では脂肪腫,神経鞘腫,血管腫が多い.軟部肉腫では脂肪肉腫,悪性線維性組織球腫,平滑筋肉腫が多い.

CQ 6.他の疾患や治療に合併・続発する腫瘍は
Grade B 頻度は低いが,転移性軟部腫瘍と,放射線治療やリンパ浮腫に続発する軟部腫瘍がある.

CQ 7.遺伝性・家族性のある腫瘍は
Grade B 遺伝性・家族性が認められる軟部腫瘍としては,神経線維腫症(1型,2型),網膜芽細胞腫に続発する腫瘍,Gardner(ガードナー)症候群におけるデスモイド,Li-Fraumeni(リ・フラウメニ)症候群に生じる軟部腫瘍などがある.


第3章 臨床症状と検査所見
CQ 1.問診上の注意点は
Grade C 問診上重要なポイントは主に発症の仕方と痛みの有無である

CQ 2.腫瘍の大きさと良性・悪性は
Grade C 軟部腫瘍において脂肪腫と血管腫,神経鞘腫を除くと,大きさが5cm超の腫瘍は悪性腫瘍である可能性が高い.

CQ 3.腫瘍の局在は
Grade C 浅在性に発生しやすい良性病変には,結節性筋膜炎,血管平滑筋腫,ガングリオン,粉瘤などがある.悪性腫瘍の多くは深在性発生であるが,隆起性皮膚線維肉腫,類上皮肉腫,粘液線維肉腫などは浅在性にも発生しやすい.

CQ 4.腫瘍の性状は
Grade C 皮下発生で柔らかい腫瘍は良性であることが多い.悪性腫瘍は,表面平滑もしくは結節状で,弾性硬であることが多く,境界は明瞭なことがある.しかし腫瘍の性状のみから良・悪性を判断することは困難なことが多い.

CQ 5.多発する腫瘍(腫瘤)は
Grade C 軟部の多発する腫瘤は良性のことが多い.

CQ 6.痛みを伴う腫瘍は
Grade B 疼痛を特徴とする腫瘍としては,良性軟部腫瘍では血管腫,グロムス腫瘍,血管平滑筋腫,リンパ管腫,神経鞘腫がある.軟部肉腫では滑膜肉腫,悪性末梢神経鞘腫瘍が自発痛をきたすことがある.

CQ 7.所属リンパ節の腫大があった場合は
Grade C 所属リンパ節転移をきたしやすい軟部肉腫は,横紋筋肉腫,淡明細胞肉腫,類上皮肉腫,血管肉腫などである.

CQ 8.臨床検査値で異常を示す腫瘍は
Grade C 臨床検査値で軟部肉腫に特異的なもの(軟部肉腫の腫瘍マーカー)は一般的にはないが,腫瘍サイズの大きな高悪性度軟部腫瘍ではLDHの上昇を認めることがある.


第4章 画像診断
CQ 1.有用な画像診断は
Grade B 原発腫瘍に対してはMRIによる評価が望ましい.
病期診断には,胸部CTを実施することが望ましい.

CQ 2.X線検査の有用性は
Grade B X線像で有用な所見を呈する腫瘍がある.

CQ 3.超音波検査(エコー)の有用性は
Grade C 超音波検査は腫瘍の局在,周辺組織との位置関係の評価,血流の多寡を評価する場合に考慮されてもよい.

CQ 4. CT検査の有用性は
Grade C 腫瘍内に石灰化を呈する腫瘍の鑑別や静脈石を形成する血管腫の診断に有用である.
脂肪腫,高分化型脂肪肉腫,脂肪芽細胞腫,血管腫などの脂肪成分を含む腫瘍の評価に有用である.
軟部腫瘍に隣接する骨や血管の評価に有用である.

CQ 5. MRI検査が診断に有用な腫瘍は
Grade B 脂肪系腫瘍,神経鞘腫,血管腫,ガングリオン,滑液包炎,リンパ管腫などの嚢胞性疾患では特徴的な所見により,診断的価値がある.

CQ 6.タリウムシンチグラフィーの有用性は
Grade C 良・悪性診断,病期診断,化学療法や放射線療法の効果判定における有用性が報告されている.

CQ 7.PET検査の有用性は
Grade C 良・悪性診断,病期診断,化学療法の効果判定に対しての有用性が報告されている. 


第5章 生検による診断
CQ 1.生検の方法と各々の利点と欠点は
Grade B 状況に応じて主に針生検,切開生検を使い分ける.切除生検は限られた状況で用いられる.

CQ 2.生検の注意点は
Grade A 生検の進入経路は,後に腫瘍と一緒に切除する必要性が生じることを考慮して生検針の刺入点や皮膚切開の部位を決め,さらに以下の点を遵守して行う.①皮膚切開を四肢長軸に沿って入れ,②進入経路として重要な神経血管の近傍は避け,③進入経路は筋間でなく筋内に設定し,④進入経路の皮下組織や筋の剥離は最小限にとどめ,⑤生検後に血腫が生じないよう確実に止血し,⑥ドレーンをおく場合には,皮膚切開上,あるいはその延長線上のすぐ近傍に出し,⑦縫合針はなるべく幅を狭く掛ける.

CQ 3.切除生検の適応は
Grade B 以下の条件がそろっている場合が原則である.①大きさが針,または切開生検を行うには小さすぎること(2〜3cmより小さいこと),②皮下にあること,③重要な血管神経などとは離れていて,切除生検時にこれらを剥離する必要がないこと,④MRIなどの術前画像検査が行われていること.

CQ 4.病理組織標本提出書の書き方は
Grade Ⅰ ①年齢,②性,③部位,④罹病期間,⑤増大のスピード,⑥大きさ,⑦深さ,⑧画像診断名などが必須の情報である.


第6章 分子生物学的診断
CQ 1.診断に有用な免疫組織化学的検査は
Grade B 免疫組織化学的検査は,軟部腫瘍の鑑別のために有用なものもあるが,必ずしも特異的でないことを念頭に置いて判断する必要がある.

CQ 2.診断に有用な遺伝子診断は
Grade B 滑膜肉腫や骨外性Ewing肉腫,胞巣型横紋筋肉腫など腫瘍特異的な染色体転座とそれに伴う融合遺伝子が存在する腫瘍では,それらの検出は鑑別診断に有用である.悪性を疑う場合には融合遺伝子の検出のために生検時に凍結標本を保存しておくことが望ましい.しかし手技的な問題や融合遺伝子の未知の変異などで偽陽性や偽陰性となる可能性があるため,Hematoxylin-Eosin(HE)染色や免疫組織化学的検査の結果なども含めて総合的に診断をする必要がある.


第7章 軟部肉腫の予後
CQ 1.予後因子は
Grade B すべての組織型において遠隔転移やリンパ節転移は予後不良因子である.非円形細胞肉腫非転移例においては,腫瘍の発生部位,大きさ,深さ,悪性度,組織型,初診時の年齢,切除縁,局所再発は予後因子である

CQ 2.局所再発の危険因子は
Grade A 腫瘍の大きさと切除縁は,非円形細胞肉腫非転移例において局所再発の危険因子である.

第8章 軟部肉腫の手術
CQ 1.手術の必要性は
Grade A 手術は軟部肉腫治療の要であり,原則として手術による切除が行われる.手術単独で適切な切除縁の確保が困難な場合には,化学療法や放射線治療を併用する.

CQ 2.適切な切除縁とは
Grade B 腫瘍反応層の外で切除する広範切除縁である.

CQ 3.追加広範切除の意義は
Grade B 計画的に行われなかった手術後は腫瘍の残存による再発の可能性があるため,原則として追加広範切除が必要である.

CQ 4.局所再発例の手術治療は
Grade B 再発症例では初回手術例より術後再発率が高いため,切断も含めた根治的な手術治療を考慮すべきである.

第9章 軟部肉腫の化学療法
CQ 1.有効な化学療法とその意義は
Grade A 円形細胞肉腫
Grade B 高悪性度非円形細胞肉腫(四肢発生例)

横紋筋肉腫や骨外性Ewing肉腫等の円形細胞肉腫においては,化学療法が必須の治療である.悪性軟部腫瘍の大多数を占める非円形細胞肉腫に対する化学療法の有効性は確立していないが,切除可能なstage Ⅲ(AJCC 6th ed.)非円形細胞肉腫の四肢発生例に対してはdoxorubicinおよびifosfamideを中心とした補助化学療法の実施を考慮すべきである.

CQ 2.化学療法の効果判定の方法は
Grade C 軟部肉腫に対する化学療法の効果判定を行うことは価値がある.化学療法の効果判定には,腫瘍切除標本における組織学的壊死率,画像上の腫瘍サイズ縮小率,fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)による腫瘍糖代謝の低下率等が用いられている.

第10章 軟部肉腫の放射線治療
CQ 1.補助的放射線治療の意義は
Grade B 適切な切除縁でない軟部肉腫の手術に関して放射線治療の併用は局所再発率を低下させる.

CQ 2.補助的放射線治療の時期は
Grade Ⅰ 放射線治療の時期としては,術前,術中,術後,およびそれらの組合せがある.どのタイミングでの治療が最も有効であるかについては明確な結論は出ていない.

CQ 3.重粒子線治療の意義は
Grade C 重粒子線治療はわが国を中心に開発された比較的新しい放射線治療であり,現在症例が蓄積されている.軟部肉腫の治療に関する論文報告は少ないが,切除不能な軟部肉腫に対する治療法として考慮してもよい.

第11章 その他の治療
CQ 1.温熱療法の意義は
Grade C 骨盤・腹部・体幹の軟部肉腫に対する補助温熱化学療法は,補助化学療法単独と比較して無増悪生存期間をのばす可能性があるが,わが国での実施例は少ない.

CQ 2.免疫療法の意義は
Grade Ⅰ 現時点で軟部肉腫に対する免疫療法の効果は明らかではない.

第12章 軟部肉腫転移症例
CQ 1.転移病巣に対する外科的切除の意義は
Grade B 単発のリンパ節転移,他臓器転移のない完全切除可能な肺転移は,切除を行うことで予後改善が期待でき,適切な患者選択を行えば外科切除の意義は大きい.

CQ 2.転移症例に対する化学療法の意義は
Grade B 予後改善を期待して施行するならばdoxorubicinを中心とした化学療法が推奨される.ただし外科的切除ができなければ化学療法のみでは根治的意味に乏しい.転移巣の状況をみながら,患者と相談の上で施行されるべきである.

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